お正月気分も抜けて、いよいよ2022年が動き出した今日このごろ。
気持ちも新たに、久しぶりの画材講座です

今回は、絵画に使われる筆の種類について見ていきたいとおもいます。
■ 穂先の形の種類
【 平筆 】
画材を問わずオーソドックスな筆。先端が平らにカットされているため直線的な絵を描くときや広い面の塗り、あまり筆跡を残したくないベタ塗りのような使い方に最適な筆といえます。大きさ長さ太さ、斜めカットなどバリエーション多数。特にアクリル画では多く使われます。
【 丸筆 】
オーソドックスな筆その2。長さ・太さ共にかなりのバリエーションが発売されています。水含みが良く、太い線から細い線まで自在に描ける反面、使いこなすにはそれなりに慣れが必要な印象。ほぼこれだけで屋外スケッチを仕上げてみたりと、水彩画ではメインの筆になることが多いでしょう。
【 フィルバート 】
こちらは平筆の角を若干丸くしたような形の筆。上記二つほどの分かりやすい特徴もなく、いろんな意味で中くらいの筆です。悪口のようですが、それはつまりとっても使いやすいということ。どんな画材のどんな局面でも主力になれる優等生といった感じでしょうか。悩んだらとりあえずこれで大丈夫!というくらい安心感があります。
【 面相筆 】
いわゆる極細筆のうち、特に日本画系の筆を面相筆(めんそうふで)といいます。細かい顔などを描くときに使われたからそう呼ぶのだとか。もちろん日本画で使う前提のものですが、細密描写の場合などは油彩も含めて多くの画材で選択肢になってきます。細いものだともうホントめっちゃ細いのまでありす。何に使うんじゃいってくらい細いのあります。必要あれば。
【 扇筆 】
オオギ筆。特殊な形状でとっつきにくいと思われがちですが、ぼかしやにじみ、透明技法による色の調整など案外と使い所の多い筆です。この筆に限らずですが、「こんな場面で使いましょう」というのが厳格に決まっているわけではないので、アイデア次第でもっと色々な用途があるでしょう。試しに一本という筆。
【 刷毛・叩き筆 】
ハケに関しては、特に水彩で空などの広い範囲を描くときなどは、有ると無いとで大違いになります。絵の具や水の含みが段違いに良いため、他にも油彩や日本画の下地作り、下塗り、仕上げのニス塗り、またアクリルのパネル水張りにも使うので、必要を感じたら優先的に一本は用意しておきたいところです。
右側のタタキ筆ですが、こちらは通常の筆のように上下左右にストロークして使うのではなく、画面に垂直に叩きつける要領で使用します。他とは全く違う独特の表現になりますので、ご興味あれば。
■ 毛の種類
ここからは筆に使われる毛の種類を簡単に。
まず、画材店に行くと大まかに「水彩筆」「油彩筆」「日本画筆」などに分類されていることが多いと思いますが、実際にはほとんどの筆が他にも流用できます。傾向としては、油彩筆が一番硬めでコシがあり、日本画筆が柔らかく繊細な使い勝手のものが多いです。また水彩筆は机で描くのを想定して持ち手が短く作られているという違いがあります。
また、他の画材では使わない筆も一部存在し、その一つが油彩用「豚毛筆」です。こちらは水を吸わないので基本的には油彩か、厚塗りのアクリルで使用するくらいにしましょう。また、日本画筆に多くみられる「羊毛(山羊)」などは非常に繊細な毛質の為、特に乾燥の早いアクリル絵具などでは意識的にすぐ洗うよう心がけましょう。
その他、メジャーなものですとコリンスキー(赤テン)、セーブル(クロテン)、馬毛、イタチ毛などの獣毛はどの画材にも使用できます。ナイロンやリセーブルは人工毛で上記と少し使い勝手が変わりますが、どちらが上という訳ではないので気に入ったものを使っていただければと思います。
以上、ざっくりですが、筆を揃えるときのご参考にしていただければ。
「弘法筆を選ばず」という言葉もありますが、現代の筆は各画材メーカーが研究を重ねて作り上げたものです。無事弘法になるその日までは、バンバン筆の力に頼って参りましょう!!皆様がお気に入りの一本と出会えますように
